君に触れたくて…
この家から実家までは、バイクで30分くらい。
梨加は“わかった”とだけ返事をし、俺の弁当を詰めにキッチンへ向かった。
「今日は遅くなるかも」
「わかった」
「行ってきます」
薄暗い中、俺はバイクに跨った。
いつものように仕事場へ急ぐ。
今の仕事場は、親父が紹介してくれた。
なんだかんだで良い親父だ。
俺が世界で一番、尊敬できる人。
「おはようございます」
親方に挨拶をし、自分の仕事をし始める。
鳶は体力的にきついけど、以外に好きだ。
危険なことは多いが、とてもやりがいがある。