君に触れたくて…
「かんぱーい」
今日は会社の送別会。
仲のいい先輩が退職することになった。
「ほら、高橋も飲めよ」
「うっす」
「でも近藤が辞めるだなんてなぁ」
社長がビールを飲みながらそう呟く。
「新しい現場でも、しっかりやれよ」
「はい!」
俺の隣に座っている近藤さんが、元気よく返事をした。
俺は近藤さんに一番よくしてもらっていた。
辞める話しも聞いたことがなく、突然今日、聞かされた。
「おい高橋」
「はい」
「俺が居なくても、お前なら大丈夫だろ」
「…ありがとうございます。でも…寂しいっすね」
「…なーに彼女みたいなこと言ってんだよ」