君に触れたくて…




あたしは靴を脱ぎ捨て、全力で走った。



でも体力はもう残ってなかった。



「きゃ!!」



「捕まえたー!逃げ足早いよ~」



「離してっ!」



「おっと!大人しくしといてね」



男の後ろから車が来るのが分かる。



もう無理だ…


あたしどうなっちゃうんだろ…

助けて…誰か…




男があたしの腕を引っ張り、無理矢理車に乗せようとする。




「助けて…助けて!!理音!!」



「理音ってだれ~?誰も助けには来ないよ」




…そっか
そうだよね…




名前を呼んだ所で、理音が来るはずがない。




あたし、何叫んでるんだろ…




あの時みたいに、また助けてくれるんじゃないかって…
少し期待してた。



< 282 / 343 >

この作品をシェア

pagetop