君に触れたくて…
あたしは靴を脱ぎ捨て、全力で走った。
でも体力はもう残ってなかった。
「きゃ!!」
「捕まえたー!逃げ足早いよ~」
「離してっ!」
「おっと!大人しくしといてね」
男の後ろから車が来るのが分かる。
もう無理だ…
あたしどうなっちゃうんだろ…
助けて…誰か…
男があたしの腕を引っ張り、無理矢理車に乗せようとする。
「助けて…助けて!!理音!!」
「理音ってだれ~?誰も助けには来ないよ」
…そっか
そうだよね…
名前を呼んだ所で、理音が来るはずがない。
あたし、何叫んでるんだろ…
あの時みたいに、また助けてくれるんじゃないかって…
少し期待してた。