君に触れたくて…
俺の体はあの時と同じように、無意識に声のする方へ走っていた。
秋桜の手を引いて逃げる。
もうあいつらは追ってこない。
「…秋桜」
凄く驚いた顔で、俺を見つめる彼女。
当たり前か…。
「お前バカか!!女一人でこんな道、歩いてんじゃねぇ!!」
秋桜がビクッと体を震わせる。
「ご…ごめんなさい」
「はぁ…無事でよかった」
俺はふと、秋桜の足元を見た。
「お前、靴は?」
「あ…途中で転んじゃって…」
「…はぁ」
俺は秋桜を抱き抱えた。
「えっ?ちょっと!恥ずかしいよ!」
「うるせぇ黙れ」
俺の一言ですぐに大人しくなる。