君に触れたくて…




俺はタクシーを拾うために大通りへ出た。




「こいつを家までお願いします」



「え…理音どこ行くの」



「俺は終電で帰る」



「お礼したいし…あたしの家寄って行きなよ」



「…いい」



「え……」



「じゃあな」




俺は秋桜に一万を渡した。


その時、秋桜が俺の腕を掴み、タクシーの中へ引っ張り込む。




「運転手さん!早く発車してください!」



「え…あっはい」




タクシーは俺を乗せ、発車する。




「てめぇ…」



「さくら公園までお願いします」



「…はぁ」




俺は携帯の時計を見た。


夜中の1時すぎ。



……終電、間に合わねぇじゃねぇか。




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