君に触れたくて…




「…あのさ…」



目だけを秋桜にやる。
2人の視線が交じりあう。




「あたし達…また、やり直せないかな」



「………」




何分経っただろう。

俺はまだ言葉の意味を理解できていない。




「…え」




やっと出た言葉。
すっとんきょうな声。
恥ずかしくて顔が赤くなった。


俺は女か!




「迷惑なら…断って」




迷惑?
秋桜が?
…そんなわけない。



でも俺は…秋桜に触れたらいけないんだ。



どんなに秋桜が好きでも、


愛していても、


秋桜の代わりに他の女を抱いたりしたのは事実。




梨加だって傷つけた。



そんな俺が、秋桜の傍にいる資格なんて、これっぽっちもねぇよ。




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