君に触れたくて…




後ろで物凄い音がした。



激しいブレーキ音。


そして“ドンッ”という、何かにぶつけた音。




俺はまさかと思った。




嘘であってほしい…
俺の思い過ごしだ…




そう言い聞かせ、事故現場まで走る。




人をかき分け、やっと出られた時、俺は言葉を失った。




周りの音も、


人々の叫びも、


風の音さえ、


俺の耳には入ってこなかった。




「……秋桜!!!」




俺は秋桜に駆け寄る。



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