君に触れたくて…




「ねぇねぇ聞いた!?」



朝からりっちゃんが騒がしい。
いつも冷静なのに…




「何を?」



「理音のやつ、金本と付き合ったらしいよ」



え…あ、そうなんだ。
付き合ったのか…
何でかな?



「珍しいね、りっちゃんが食い付くなんて」



「何も思わないの?」



「え?…うん」




何を思うの?
嫌だ…とか?




「はぁ…あんたって子は」




りっちゃん、意味分かんないよ?


「まぁいいや!」



あたしは納得行かないんだけど…
まぁいいや。



「あ…金本さん」




嬉しそうに教室に入ってくる彼女。


しかし、彼女の周りにはすぐに女の子たちが群がった。




「ありゃりゃ、責められてるねー」



「ひどいね」



「おっつ…彼氏登場」



「俺の女に何か用?」




理音のその言葉を聞いた時、
あたしは何だか悲しくなった。


“俺の女”が頭から離れなかった。



理音はもう…
守ってくれないね…。





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