君に触れたくて…




「では…最期の言葉を」




最期ってなんだよ。




「…秋桜、痛かったね…苦しかったね…うぅ……秋桜…」




一人ひとり、安らかに眠る秋桜に言葉をかける。




聡も智樹も涼子も…




「…理音、お前で最後だ」




聡が赤い目を俺に向けて言う。




俺はゆっくり、秋桜に近づく。




彼女の傷だらけの顔に、そっと手を当てる。



冷たい皮膚。


生きてる温もりはない。




優しく髪を撫でる。




俺は自分の人差し指を、自分の口に当て、彼女の唇に指を当てた。



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