君に触れたくて…
「理音やめろ!」
たまたま近くを通りかかった智樹が止めに入る。
それでも俺は殴る手を止めなかった。
相手の先輩はもう気絶寸前だ。
「くそが」
一発腹に蹴りをいれ、俺は止めた。
返り血で制服が赤い。
「お前ここまでしなくてもいーだろ」
やりすぎる俺を、智樹はいつも注意する。
「チッ!うぜぇなぁ」
「理音っ!」
俺は智樹の胸ぐらを掴み、壁に押しあてた。
「お前もこんな風になりてぇかよ」
「お前最低だな。殴りたきゃ殴れよ」
いつになく、智樹がキレている。
そんな智樹にも、むしゃくしゃした。
「くそっ!」
掴んでいた制服を離し、
俺はその辺にいた女の腕を掴んだ。