君に触れたくて…
理音のばかっ。
なんなんよ…
「ゆき大丈夫?」
屋上を降りて、あたしたちは空き教室にいた。
「大丈夫、大丈夫」
ゆきの唇が切れている。
見るからに痛そう。
あたしはハンカチで、ゆきの口を押さえた。
「保健室行こう?」
「だな」
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
何で急に殴ったの?
わけわかんないよ…。
理音なんて…
大嫌い。
カチャ…
静かに保健室のドアを開ける。
先生はいないみたい。
「先輩」
誰かがいる。
この声は理音?
「なに」
女の人の声。
嫌だ…聞きたくない。
でも、手当てしなきゃ…。