君に触れたくて…



「い、今…なんて?」



「好きだって言った」



「あ、あ、あたしが?!」



「うん」




まじですか…
どうしよう。



「返事はまだいいから」



そう言うとゆきは、独特のふわっとした笑顔を見せた。



ゆきを…

ゆきを好きになれたら


ゆきと付き合ったら


あたしは幸せなのかな。



理音は相変わらず冷たいし、
叶う恋じゃないもんね。



ゆきなら…
あたしは幸せになれる気がする。



「…好きに」



「ん?」



「好きになるように頑張るから」


「え…ありがとう!」



いきなりゆきが抱きついてきた。

突然の行動にびっくりして、あたふたするあたし。



「俺にも望みはあったんだ」



「え?」



「何でもねぇ」




ゆき…


あたしは、あなたを好きになるように努力します。





< 54 / 343 >

この作品をシェア

pagetop