君に触れたくて…
「なんですか?」
「俺、“あなた”じゃねぇし。
……理音」
「へ?」
「だから!俺の名前だって。
高橋 理音!覚えとけ!」
いやいや、そんなキレられましても…
あなたのあだ名は
あたしの中でもう確定してる。
“ツンツン野郎”
髪の毛ツンツンしてるし
おまけに性格だってツンツンしてるから。
なかなかいい
ネーミングセンスだと思う。
まぁ、かっこいいとは思うよ。
だけどあたしは、もっと優しい人がいいし
ドジなあたしを、
包み込んでくれるような感じかなぁ。
って、なんで理音が
“あたしのこと好き”みたいな妄想、
勝手に繰り広げちゃってるんだろ。
「じゃ!」
あたしは素っ気なく挨拶し、
保健室を後にした。