君に触れたくて…
涼子はそれ以上何も言わず、
秋桜の元へと戻っていった。
一瞬、秋桜と目があったが、今度は俺の方から目を逸らし、
化学準備室へと向かうために席をたった。
なんでこんなに、
恋愛って上手くいかないんだよ…
「理音くんっ!来てくれたんだね!」
俺の姿を見た瞬間、
知佳は俺の胸に飛び込んできた。
それでも俺は冷静で、冷めてる。
秋桜のことだと、
あんなに心乱されるのに。
そう思いながら、俺は彼女を引き離し、奥へと連れていった。
「なに、話って」
机の上に座り、
ポケットの中の煙草を手に取る。
「あのね…抱いてくれないかな?」
「……ふっ(笑)お前から言ってくるって珍しいな」
俺はこの時気付いてなかった。
彼女の巧みな仕掛けに、
はまっていたということを。