君に触れたくて…




ふっと笑うその顔は、まさにキラースマイル。




「あの…なんで」



「授業終わったから来てみた」



「え…?」




時計を見ると、もう5分は過ぎている。


みんなとの会話や理音の行動に
気を取られてすっかり忘れていた。




「終礼するぞー」




担任が教室に入ってくる。




「やばっ!俺戻らなきゃ」



「そうだね!バイバイ」



「あ、そうそう」



「?」




ゆきの顔が近づいてくる。


なっ…なに?!



“放課後、音楽室”



ゆきは耳元でそう囁き、教室を出て行った。


一時思考停止…


あたしのその様子を、理音が席から見ていた。


そんな事も気付かず、あたしは火照る耳を押さえながら、自分の席へと戻った。





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