君に触れたくて…
「はぁ…お待たせっ」
「おせーし」
おでこにデコピンをされ、少し不機嫌になる。
あたしが遅れたのが悪いんだけどね。
「何か用事があったの?」
「んーまぁね」
なんだろう…
「俺さ」
ゆっくりとゆきが話し始めた。
「俺さ、お前のこと好きじゃん?」
「…うん」
「何とか好かれようって頑張ってるつもりだけど、高橋だっけ?
あんな事されたら俺の立場ねぇってな(笑)」
あんな事って多分、今日のやつだ。
「秋桜さ、努力するって言ったじゃん」
「うん」
「俺、信じてるから。お前のこと」
「……」
「話はそれだけ!じゃぁな」
ゆきは足早に音楽室を去って行った。