君に触れたくて…




あたしはどうすれば…



手を伸ばせば、絶対の幸せがそこにある。



だけど…あたしが本当に好きなのは…



“自分に、正直になりなさい”




前にお母さんが言った言葉。


あたしの大切な言葉だけど…



正直になったって、報われないことだってあるんだよ…。



叶わない恋を追いかけるほど、今のあたしには余裕がない。




ゆきは本当に好い人。
本当に優しい人。


彼を…裏切れないよ。



あたしは無我夢中に廊下を走っていた。




「ゆきっ!!」




玄関で靴を履いているゆきを発見。




「あたし…っ」



「どうした?」




いつもと変わらぬ笑顔で受け入れてくれる。



理音…理音…
あたしはあなたを諦めます。




さよなら…大好きな人。






「あたしと付き合って下さい」






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