月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
もしあたしが犬だったら、ちぎれんばかりにシッポを振っていただろう。

警視庁捜査一課の刑事・日野麗美こと麗美姉ちゃんはあたしの従姉。

美人で強くて(空手の有段者)とても優しい。

もー大好きなんである。

「どうして病院(ここ)に?」

「コイツに呼び出されたのよ」

麗美姉ちゃんはそっぽを向いている達郎兄ちゃんを指さした。

「あ、もしかして屋上にいたの麗美姉ちゃん?」

「そーいうこと」

麗美姉ちゃんはタメ息をついた。

「まったく、いきなりアレコレ調べろと言ってきたり、屋上に登れと言ったり、たまったもんじゃないわよコッチは」

警察の協力員と言っても、達郎兄ちゃんは民間人だからお目付役がいる。

でも達郎兄ちゃんは警視総監の息子。

上層部にしてみれば腫れ物に触るようなものだ。

だから達郎兄ちゃんがらみの物事は、すべて麗美姉ちゃんに押しつけられる。

聞いた話だと、麗美姉ちゃんは達郎兄ちゃんに振り回されっ放しらしい。

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