月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
あたしは達郎兄ちゃんをにらんだ。
「湯月くん行っちゃったじゃない!」
「落ち着け」
達郎兄ちゃんの手があたしに向かって延びる。
「最近は携帯やメールという便利なもんがあるだろうが」
「わ、わがっだがらはにゃひて」
→【訳】わ、わかったから放して
あたしは鼻をつまむ達郎兄ちゃんに、そうお願いした。
―――――――――――
達郎兄ちゃんの家庭教師が終わると同時に、夕食の時間になった。
「じゃ、また明日」
ひらひらと手を振りながら出て行く達郎兄ちゃんの背中に、小さく舌を出しながら、あたしは夕食に向かった。
夕食を終えると、あたしは携帯をジャージのポケットに入れ、松葉杖をついて屋上へ向かった。
個室とはいえ、病室での携帯の使用は禁じられている。
ホールは面会用で、他にも患者や見舞客がいた。
電話で話はしずらい。
自意識過剰に思えるかもしれないが、彼氏との会話を他人には聞かれたくない。
「湯月くん行っちゃったじゃない!」
「落ち着け」
達郎兄ちゃんの手があたしに向かって延びる。
「最近は携帯やメールという便利なもんがあるだろうが」
「わ、わがっだがらはにゃひて」
→【訳】わ、わかったから放して
あたしは鼻をつまむ達郎兄ちゃんに、そうお願いした。
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達郎兄ちゃんの家庭教師が終わると同時に、夕食の時間になった。
「じゃ、また明日」
ひらひらと手を振りながら出て行く達郎兄ちゃんの背中に、小さく舌を出しながら、あたしは夕食に向かった。
夕食を終えると、あたしは携帯をジャージのポケットに入れ、松葉杖をついて屋上へ向かった。
個室とはいえ、病室での携帯の使用は禁じられている。
ホールは面会用で、他にも患者や見舞客がいた。
電話で話はしずらい。
自意識過剰に思えるかもしれないが、彼氏との会話を他人には聞かれたくない。