月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「借金も遺産もらえなくなったのも、全部自分のせい。自業自得だっつーの」
一方で、あたしは複雑な思いを抱えていた。
「どうした、カホ」
「達郎兄ちゃん、多江さんが殺されたのって、やっぱあたしのせいかな」
「どういうことだ」
「だって、多江さんが殺されたのって病気が治ったからでしょ。それは和夫さんが真実を告白したからで、その和夫さんが真実を告白したのは、あたしが余計な事を言ったせいで…」
あたしはベッドのシーツを握りしめた。
「あたしが余計な事を言わなけりゃ、多江さんは…」
その時、昨夜よりはるかに力のこもったチョップが、あたしの脳天に叩き込まれた。
「カホ、あんたバカ?」
真顔の麗美姉ちゃんがそこにいた。
「じゃあなに、医者が治した患者が退院して事件起こしたら、それは医者のせいなの?」
ずい、と麗美姉ちゃんの顔が近くに寄る。
その右手は拳に変わっていた。
一方で、あたしは複雑な思いを抱えていた。
「どうした、カホ」
「達郎兄ちゃん、多江さんが殺されたのって、やっぱあたしのせいかな」
「どういうことだ」
「だって、多江さんが殺されたのって病気が治ったからでしょ。それは和夫さんが真実を告白したからで、その和夫さんが真実を告白したのは、あたしが余計な事を言ったせいで…」
あたしはベッドのシーツを握りしめた。
「あたしが余計な事を言わなけりゃ、多江さんは…」
その時、昨夜よりはるかに力のこもったチョップが、あたしの脳天に叩き込まれた。
「カホ、あんたバカ?」
真顔の麗美姉ちゃんがそこにいた。
「じゃあなに、医者が治した患者が退院して事件起こしたら、それは医者のせいなの?」
ずい、と麗美姉ちゃんの顔が近くに寄る。
その右手は拳に変わっていた。