月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「多江さんにもらったんだ」
あたしはネックレスをゆらした。
「お礼だって言われたんだけど、どういう意味だったんだろ」
「お礼?」
「うん」
あたしはもらった時の様子を話した。
「難しく考える必要はないだろ」
「どういうこと?」
達郎兄ちゃんの言葉に、あたしは首をひねる。
「多江さんは身内以外から隔離されたんだろ」
「うん」
あたしは多江さんと話した後の、婦長とのやり取りを思い出した。
いま思えば遺産のことで多江さんを囲いこもうとしてただけかもしれないけど。
「そんな自分に話しかけてくれたカホに、多江さんは感謝してたんじゃないか」
「恋人が死んだ当初、周囲に壁を作った自分への贖罪だったかもね」
多江さんの真意はわからない。
でも達郎兄ちゃんと麗美姉ちゃんの言う通りかもしれない。
あたしは手の平に乗ったネックレスを見つめた。
お礼の品が、形見になってしまった。
あたしはネックレスをゆらした。
「お礼だって言われたんだけど、どういう意味だったんだろ」
「お礼?」
「うん」
あたしはもらった時の様子を話した。
「難しく考える必要はないだろ」
「どういうこと?」
達郎兄ちゃんの言葉に、あたしは首をひねる。
「多江さんは身内以外から隔離されたんだろ」
「うん」
あたしは多江さんと話した後の、婦長とのやり取りを思い出した。
いま思えば遺産のことで多江さんを囲いこもうとしてただけかもしれないけど。
「そんな自分に話しかけてくれたカホに、多江さんは感謝してたんじゃないか」
「恋人が死んだ当初、周囲に壁を作った自分への贖罪だったかもね」
多江さんの真意はわからない。
でも達郎兄ちゃんと麗美姉ちゃんの言う通りかもしれない。
あたしは手の平に乗ったネックレスを見つめた。
お礼の品が、形見になってしまった。