月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「うわあああ!」

廊下に響き渡る湯月くんの絶叫。

おい、ここは病院だぞ!

「何してんだお前らは」

達郎兄ちゃんがあきれ顔で言った。

「湯月くん、泣いてたわよ」

麗美姉ちゃんが開けっ放しのドアを指す。

「いやまさかあんなリアクションとるとは…」

…って言ってる場合じゃない!

「達郎兄ちゃん!湯月くんを連れ戻してきて!」

そう訴えるあたしに対し、達郎兄ちゃんは「ヤだよ」とあきれ顔を継続させた。

「どう考えたって、カホが悪いだろ」

「今回は達郎に同感ね」

ああんもう、余計なとこで名コンビ!

「わかったわよ!」

あたしは松葉杖をとって、ベッドから降りようとした。

だが、よほど慌ててたらしい。

足と松葉杖の動きが全く合っていなかった。

気付いた時にはもう、あたしは前のめりになっていた。

「お」

「あら」

達郎兄ちゃんと麗美姉ちゃんの声が聞こえた。

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