月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
なぬ?

あたしは高森さんの顔を見た。

その瞳はキラキラと輝いていた。

「従兄です」

「名前は何ていうの?」

「月見達郎です」

「達郎さんか…」

たったそれだけの情報に高森さんは大きくうなずいた。

高森さんは見たとこ25・6。

達郎兄ちゃんと同い年ぐらいだろう。

達郎兄ちゃんはやや問題のある性格の持ち主だが、ルックスは身内のあたしが見ても平均以上。

同世代の高森さんが興味を持つ可能性はある。

「達郎兄ちゃんのこと気になります?」

あたしはずばり訊いてみた。

「べ、別に…」

高森さんは顔を赤くしてうつむいた。

同時に意味もなくベッドのシーツをいじくる。

ビンゴだね、これは。

「達郎さんて、恋人いるの?」

ぐいぐい来ますねー、高森さん。

でもなー。

高森さんには強力な相手がいるんだよなー。

あたしは麗美姉ちゃんの顔を思い出した。

「でもアレは付き合ってるっていうのかな…」

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