月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
あたしはつい口に出してしまった。

「達郎さんて付き合ってる人いるんだ…」

高森さんの声が沈む。

「いや、よくわからないんですよ」

あの2人、惹かれ合ってるのは一目瞭然なんだけど、恋人同士かっていうとちょっと…。

しばらくして、あたしはやましい事を考えた。

「高森さんが達郎兄ちゃんにアタックするのはありだと思いますよ」

あたしの言葉に、高森さんは目を丸くした。

「え、でも…」

「別に付き合ってるワケじゃないんです」

あの2人の場合は、固い絆で結ばれたパートナーって感じか。

いやそれはそれで素敵な関係だとは思うけど、年頃の男女の関係としては、ねぇ?

だからあたしは常日頃から、達郎兄ちゃんと麗美姉ちゃんにはもどかしさを覚えていた。

何かがきっかけで、あの2人に変化が起きれば。

正直、高森さんを利用しちゃってるけど…。

ええい!

「と、とにかく話し掛けるぐらいなら全然大丈夫かと…」

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