月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「ああ、婦長さんと藤上先生は同期だから」

「あの2人は付き合ってるんですか」

確かどちらも結婚指輪はしてなかったような気がするが、職業柄、外してる可能性は大だからね。

「ん…まぁ…」

「そうなんですか!?」

だとしたら大人の関係だわいな~(なぜ訛る)。

「ノーコメント」

高森さんはウインクして話題を打ち切った。

でもあたしにはそれで充分。

そうかそうか、そーなのか~。

「今の話も内緒よ」

あたしは沈黙を固く誓った。

「よかったです。高森さんみたいな人があたしの担当で」

「…旭さん、退屈してたでしょ?」

しばらくあたしの顔を見つめた後、高森さんはずばり言い当ててみせた。

「わかります?」

あたしはあっさりと認めた。

「これでもナースだからね。患者さんのことは、ある程度はわかるわ」

さすが。

「旭さんみたいな若い子には、入院生活が合わないのよ」

あ、デジャヴ。

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