月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
イェマント氏病
その日の昼食を終えて、窓を眺めた。
今日は天気がいい。
風もなさそうだ。
あたしは松葉杖を手に取ると屋上へ向かった。
そこにいるという確信はなかったけど、屋上のドアを開けてみる。
多江さんは、いた。
昨日と同じく、ベンチに座っていた。
携帯をいじっているのも同じ。
「隣、いいですか」
遠慮半分の口調で訊いてみた。
多江さんは顔を上げると笑顔でうなずいた。
「座って」
あたしは多江さんの隣に腰を降ろした。
「彼氏さんとメールですか」
「そうよ」
「仲いいんですね」
「旭さんは恋人いないの?」
透明な笑顔で言われて、あたしはドキリとした。
同性相手に胸を高鳴らせてどうするッ。
「彼はいます」
そうそう、あたしは彼氏持ち。
美人相手に胸をときめかせてる場合じゃない。
「彼と連絡とったりはしないの?」
多江さんは自分の携帯を小さく掲げた。
「えっと…」
返答に困った。
今日は天気がいい。
風もなさそうだ。
あたしは松葉杖を手に取ると屋上へ向かった。
そこにいるという確信はなかったけど、屋上のドアを開けてみる。
多江さんは、いた。
昨日と同じく、ベンチに座っていた。
携帯をいじっているのも同じ。
「隣、いいですか」
遠慮半分の口調で訊いてみた。
多江さんは顔を上げると笑顔でうなずいた。
「座って」
あたしは多江さんの隣に腰を降ろした。
「彼氏さんとメールですか」
「そうよ」
「仲いいんですね」
「旭さんは恋人いないの?」
透明な笑顔で言われて、あたしはドキリとした。
同性相手に胸を高鳴らせてどうするッ。
「彼はいます」
そうそう、あたしは彼氏持ち。
美人相手に胸をときめかせてる場合じゃない。
「彼と連絡とったりはしないの?」
多江さんは自分の携帯を小さく掲げた。
「えっと…」
返答に困った。