月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「ケンカ中?」
「ええ、まぁ…」
ケンカをしているワケではないが、誤解はあると思う。
「じゃあ、早く仲直りしないとね」
多江さんは目を細めた。
まるで包み込むような、優しい笑顔。
高森さんの言葉を思い出した。
『彼女、何か変なこと言わなかった?』
変なとこなんか、なんにもない。
あたしがどういうことか訊いたら、高森さんは慌てて言葉をにごした。
一体、何なんだろう。
多江さんの携帯がメロディを奏でた。
彼氏さんからのメールが届いたのだろう。
多江さんは嬉しそうな顔で、画面を見つめた。
「彼氏さんはお見舞いに来ないんですか」
あたしは訊いてみた。
「それは無理よ」
「え、お見舞いに来られないんですか」
「そうよ」
「仕事か何かで?」
多江さんは首を振った。
「彼、もう死んでるの」
「え…」
「彼は去年死んでしまったの。だからお見舞いには来られないのよ」
「ええ、まぁ…」
ケンカをしているワケではないが、誤解はあると思う。
「じゃあ、早く仲直りしないとね」
多江さんは目を細めた。
まるで包み込むような、優しい笑顔。
高森さんの言葉を思い出した。
『彼女、何か変なこと言わなかった?』
変なとこなんか、なんにもない。
あたしがどういうことか訊いたら、高森さんは慌てて言葉をにごした。
一体、何なんだろう。
多江さんの携帯がメロディを奏でた。
彼氏さんからのメールが届いたのだろう。
多江さんは嬉しそうな顔で、画面を見つめた。
「彼氏さんはお見舞いに来ないんですか」
あたしは訊いてみた。
「それは無理よ」
「え、お見舞いに来られないんですか」
「そうよ」
「仕事か何かで?」
多江さんは首を振った。
「彼、もう死んでるの」
「え…」
「彼は去年死んでしまったの。だからお見舞いには来られないのよ」