月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
あたしは、多江さんの言ってる意味がよくわからなかった。
「その代わり、彼はよくメールをくれるの」
多江さんは再び、携帯を掲げた。
「病気の私に頑張れと言ってくれたり、楽しい話をしてくれたり…」
多江さんの言葉と笑顔を受けとめていいものかどうか、あたしは迷った。
死んだ人間がメールをしてくるはずがない。
でも、多江さんは確かにそう言っている。
多江さんはあたしをからかっているのだろうか?
いや、そうではない。
高森さんが言っていた、変なことって、もしかして…。
ぐるぐるとあたしの頭が混乱してきたその時、屋上のドアが開いた。
「ここにいたの、多江」
「あ…」
「あら…」
あたしと婦長さんの目が合った。
「雅美さん」
多江さんは婦長さんにそう呼び掛けた。
「多江、あなた昼食もとらないで何してたの」
婦長さんはちらりと、ばつの悪そうな表情であたしを見てから、多江さんにそう言った。
「その代わり、彼はよくメールをくれるの」
多江さんは再び、携帯を掲げた。
「病気の私に頑張れと言ってくれたり、楽しい話をしてくれたり…」
多江さんの言葉と笑顔を受けとめていいものかどうか、あたしは迷った。
死んだ人間がメールをしてくるはずがない。
でも、多江さんは確かにそう言っている。
多江さんはあたしをからかっているのだろうか?
いや、そうではない。
高森さんが言っていた、変なことって、もしかして…。
ぐるぐるとあたしの頭が混乱してきたその時、屋上のドアが開いた。
「ここにいたの、多江」
「あ…」
「あら…」
あたしと婦長さんの目が合った。
「雅美さん」
多江さんは婦長さんにそう呼び掛けた。
「多江、あなた昼食もとらないで何してたの」
婦長さんはちらりと、ばつの悪そうな表情であたしを見てから、多江さんにそう言った。