月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
『天国に行ってもメールをくれるなんて』
そう言う多江さんは、隆夫さんが死んだ事を、はっきりと認識していた。
にも関わらず、隆夫さんからメールが来た事を疑いもしなかった。
『間違いないわ。メールアドレスは隆夫さんの物だもの』
訝る婦長さんに、多江さんはそう反論した。
そして不可思議なメールのやり取りが始まった。
今では完全に多江さんの生活の一部となっているという。
病院側も、そのメールが慰みや励ましになるならと静観している状態だ。
「私も、口を出すつもりはないわ」
「あの、いいですか」
あたしは問わずにいられなかった。
「そのメールの送り主って、本当に隆夫さんなんですか」
「多江は、そう思っているわ」
「本当の送り主は…」
「ごめんなさい。話せるのはここまでよ」
さらなる問いかけを、婦長さんは制した。
「さっきも言ったけど、本当は個人の病状を第3者に漏らすのは、モラルに反することなの」
そう言う多江さんは、隆夫さんが死んだ事を、はっきりと認識していた。
にも関わらず、隆夫さんからメールが来た事を疑いもしなかった。
『間違いないわ。メールアドレスは隆夫さんの物だもの』
訝る婦長さんに、多江さんはそう反論した。
そして不可思議なメールのやり取りが始まった。
今では完全に多江さんの生活の一部となっているという。
病院側も、そのメールが慰みや励ましになるならと静観している状態だ。
「私も、口を出すつもりはないわ」
「あの、いいですか」
あたしは問わずにいられなかった。
「そのメールの送り主って、本当に隆夫さんなんですか」
「多江は、そう思っているわ」
「本当の送り主は…」
「ごめんなさい。話せるのはここまでよ」
さらなる問いかけを、婦長さんは制した。
「さっきも言ったけど、本当は個人の病状を第3者に漏らすのは、モラルに反することなの」