月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
尋常ではない痛みに、あたしはそう判断した。

「きゅ、救急車ってどうやって呼べばいいんだっけ!?」

湯月くんは完全にパニくっていた。

「え、NTTに訊いてみる!」

やめてくれよオイ。

「携帯で119番して」

「119だね!」

湯月くんはようやく携帯を取り出した。

「ええと、119って何番だっけ!?」

おいおい。

「119は119でしょ!」

「あ、そうか!」

大丈夫か、あたしの彼。

「ああッ!手が震えてボタンが押せない!!」

ホントに頼りにならねー男だなオイ!!



―――――――――――



あたしに下された診断は全治3週間。

右足の骨にヒビが入ってるとか、腱を痛めてるとか、そんな内容だった。

どうもトラックに引っ掛けられたらしい。

あたしの右足は今、膝から爪先にかけて、ギプスで固定されている。

処置のおかげで痛みは消えたが、その代わりに(って言い方はアレだけど)やって来たのが麻砂女お婆ちゃん。
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