月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
多江さんは頬を染めながらうなずいた。
天国から来るメールを全く疑ってない。
愛しているとはいえ、なぜそれを受け入れられるんだろう。
いや愛しているから受け入れられないのか、恋人の『死』を。
それにしてもメールの送り主は…。
「行くぞ、カホ」
達郎兄ちゃんがあたしを促した。
その顔にはこれ以上は野暮だと書いてあった。
あたしは松葉杖をついて立ち上がった。
「じゃ雪村さん、自分たちはこれで」
達郎兄ちゃんは頭を下げた。
「またサークルでお会いできるといいですね」
「私も久し振りにお会いできて嬉しかったです」
ごきげんよう、と多江さんは頭を下げた。
ごきげんよう、か。
多江さんは真性のお嬢だな。
あたしは会釈を返しながらそう思った。
そして達郎兄ちゃんにドアを開けてもらって、屋上を出る。
「達郎兄ちゃん、どう思った?」
達郎兄ちゃんが、ドアを閉めると同時に、そう訊いた。
天国から来るメールを全く疑ってない。
愛しているとはいえ、なぜそれを受け入れられるんだろう。
いや愛しているから受け入れられないのか、恋人の『死』を。
それにしてもメールの送り主は…。
「行くぞ、カホ」
達郎兄ちゃんがあたしを促した。
その顔にはこれ以上は野暮だと書いてあった。
あたしは松葉杖をついて立ち上がった。
「じゃ雪村さん、自分たちはこれで」
達郎兄ちゃんは頭を下げた。
「またサークルでお会いできるといいですね」
「私も久し振りにお会いできて嬉しかったです」
ごきげんよう、と多江さんは頭を下げた。
ごきげんよう、か。
多江さんは真性のお嬢だな。
あたしは会釈を返しながらそう思った。
そして達郎兄ちゃんにドアを開けてもらって、屋上を出る。
「達郎兄ちゃん、どう思った?」
達郎兄ちゃんが、ドアを閉めると同時に、そう訊いた。