月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
達郎兄ちゃんは腕を組んだ。
ここはあたしの病室。
時間は午後の5時近く。
今日も勉強の時間はつぶれた。
あたしが多江さんと和夫さんの話をしたからだ。
「どこが変なんだ」
「最後まで聞いてよ」
あたしはその時の状況を思い出しながら話を続けた。
「多江さんがメールを送ると、和夫さんの携帯が反応してね、和夫さんがメールを打ち終えると、多江さんの携帯にメールが届くの」
「それが延々と続いたのか」
「あたしが数えただけでも10回はそんなやり取りあったわね」
「つまりカホは和夫さんが隆夫さんになりすましてメールを送ってると言いたいわけだな」
「その通り!」
なんだ、ちゃんとわかってるじゃん。
「きっとさ、和夫さんは多江さんのことが好きなんだよ」
でなければ、たった一人で死んだ兄の恋人のもとに来るはずがない。
「でも和夫さんは今でも隆夫さんのことが好きな多江さんのために自分の気持ちを押し殺して…」
ここはあたしの病室。
時間は午後の5時近く。
今日も勉強の時間はつぶれた。
あたしが多江さんと和夫さんの話をしたからだ。
「どこが変なんだ」
「最後まで聞いてよ」
あたしはその時の状況を思い出しながら話を続けた。
「多江さんがメールを送ると、和夫さんの携帯が反応してね、和夫さんがメールを打ち終えると、多江さんの携帯にメールが届くの」
「それが延々と続いたのか」
「あたしが数えただけでも10回はそんなやり取りあったわね」
「つまりカホは和夫さんが隆夫さんになりすましてメールを送ってると言いたいわけだな」
「その通り!」
なんだ、ちゃんとわかってるじゃん。
「きっとさ、和夫さんは多江さんのことが好きなんだよ」
でなければ、たった一人で死んだ兄の恋人のもとに来るはずがない。
「でも和夫さんは今でも隆夫さんのことが好きな多江さんのために自分の気持ちを押し殺して…」