月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
そう思ったあたしは、とたんにこの場に居づらくなった。
どのみちこのままでは湯月くんにメールを打つ気にはなれない。
あたしは何かひとつふたつ理由を言って、屋上を後にした。
「旭さん」
階段を降りきった時、背後から声をかけられた。
振り向くと、和夫さんが階段の真ん中に立っていた。
「旭さん」
和夫さんはもう一度あたしの名を呼ぶと、階段を一気に降りてきた。
「すまない、足が悪いのに、呼び止めるようなことをしてしまって」
そう言ったきり、和夫さんの口からは次の言葉が出てこなかった。
2・3度口を開きかけては閉じるといったことを繰り返す。
なんか、湯月くんを思い出すなぁ。
同じメガネ男子だし。
…いかん、なんかイライラしてきた。
「あの、なにか?」
じれたあたしが和夫さんに訊くと、和夫さんはようやく口を開いた。
「君は多江さんの病気のことを知っているよね」
どのみちこのままでは湯月くんにメールを打つ気にはなれない。
あたしは何かひとつふたつ理由を言って、屋上を後にした。
「旭さん」
階段を降りきった時、背後から声をかけられた。
振り向くと、和夫さんが階段の真ん中に立っていた。
「旭さん」
和夫さんはもう一度あたしの名を呼ぶと、階段を一気に降りてきた。
「すまない、足が悪いのに、呼び止めるようなことをしてしまって」
そう言ったきり、和夫さんの口からは次の言葉が出てこなかった。
2・3度口を開きかけては閉じるといったことを繰り返す。
なんか、湯月くんを思い出すなぁ。
同じメガネ男子だし。
…いかん、なんかイライラしてきた。
「あの、なにか?」
じれたあたしが和夫さんに訊くと、和夫さんはようやく口を開いた。
「君は多江さんの病気のことを知っているよね」