月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
残された過去のメールに目を通し、隆夫さんの文体をまねた。
メールにあった話題をふり、思い出を共有しようと努めた。
そして今、多江さんは【天国からのメール】を完全に信じている。
「だから、旭さんにお願いがあるんだ」
和夫さんは視線をあたしに戻した。
「多江さんに、メールの送り主は僕だということは明かさないでほしい」
何となく、そんなことだろうと思っていた。
「言いませんよ」
今度はあたしの方から視線を外した。
「頼む」
和夫さんは小さく頭を下げた。
「ひとつ訊いていいですか」
「何だい」
「メールの送り主が和夫さんだということを知っている人は、他にいるんですか」
ここのところは重要な問題だった。
もし秘密を知っているのがあたしだけだとしたら、ちょっと荷が重い。
「…婦長さんも知っている。僕の方から話した」
まぁ婦長さんは多江さんの身内だしね。
ひとりぐらいには真実を伝えとかないと。
メールにあった話題をふり、思い出を共有しようと努めた。
そして今、多江さんは【天国からのメール】を完全に信じている。
「だから、旭さんにお願いがあるんだ」
和夫さんは視線をあたしに戻した。
「多江さんに、メールの送り主は僕だということは明かさないでほしい」
何となく、そんなことだろうと思っていた。
「言いませんよ」
今度はあたしの方から視線を外した。
「頼む」
和夫さんは小さく頭を下げた。
「ひとつ訊いていいですか」
「何だい」
「メールの送り主が和夫さんだということを知っている人は、他にいるんですか」
ここのところは重要な問題だった。
もし秘密を知っているのがあたしだけだとしたら、ちょっと荷が重い。
「…婦長さんも知っている。僕の方から話した」
まぁ婦長さんは多江さんの身内だしね。
ひとりぐらいには真実を伝えとかないと。