月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
「今日は厄日か仏滅だ」

和夫さんは席から立ち上がった。

「もう帰って寝ることにするよ」

寝るって言ったって…まだ3時前…。

それに授業があるんじゃ…。

「すいません、生意気を言って」

あたしはそれだけを何とかしぼり出した。

「謝ることはない」

和夫さんは首を振った。

「君は間違ってない」

和夫さんはそれだけ言い残すと、喫茶室から出ていった。

その後ろ姿を見送りながら、あたしは大きくため息をつく。

あー、疲れた。

ドキドキが全然おさまらない。

「これ持って、上がれるかなぁ…」

いちごオレとポッキーの入った袋が、えらく重いものに見えた。

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