月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
我ながらお節介で生意気な女だと思う。

でも自分にウソはつけないんだよね。

こーいうの、厄介な性格っていうんだろうな。

あー、誰かに頭なでてもらいたくなってきた。

松葉杖によりかかりながら病室のドアを開け、いちごオレとポッキーをベッドの上に投げる。

破裂したり折れたりするのを気にする気分ではなかった。

ベッドに腰をおろしながら、何度目かのため息をつく。

ここに来るまで何度ため息をついたやら。

何気なく携帯を見ると、メールが着信していた。

湯月くんからだった。

メールタイトルは

『行きます!』

…絶叫すんなよ。

本文は

『何か欲しいものありますか』

…別にパシリ頼んでるわけじゃないんだけどな。

ただ単に顔が見たいだけなんだけど。

まぁ湯月くんにその辺を察しろって言ったって、無理な話か。

あたしは

『ほげ』

とだけ書いてメールを返した。


―――――――――――


「何ニヤニヤしてんだ、カホ」

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