月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
屋上の女(ひと)
当たり前な話だが、入院生活は規則正しいものだった。
朝食は7時、昼食は12時、夕食は5時で、9時には消灯。
午前10時ごろに検温があって、午後3時に先生の回診。
言い換えればそれ以外はヒマ。
はっきり言ってこれはこたえた。
今まで、入院生活というものに縁がなかったせいか、ベッド上での過ごし方がさっぱりわからないのだ。
入院2日目の時点で、あたしはすっかり気が滅入ってしまった。
そして午後3時。
回診の時間になった。
「旭さん、失礼します」
入って来たのは小柄な中年の看護婦。
年齢は見たとこ50代。
かけている銀縁の眼鏡が似合う、風格のある女性だ。
「先生、お願いします」
看護婦に促され、後ろから白衣の男性が現れた。
年は看護婦と同い年ぐらいに見える。
男性にしては、ほっそりとした体つきが印象的だった。
「担当医の藤上です」
藤上先生はあたしの顔を見るなり
「生気がないな」
と言って笑った。
朝食は7時、昼食は12時、夕食は5時で、9時には消灯。
午前10時ごろに検温があって、午後3時に先生の回診。
言い換えればそれ以外はヒマ。
はっきり言ってこれはこたえた。
今まで、入院生活というものに縁がなかったせいか、ベッド上での過ごし方がさっぱりわからないのだ。
入院2日目の時点で、あたしはすっかり気が滅入ってしまった。
そして午後3時。
回診の時間になった。
「旭さん、失礼します」
入って来たのは小柄な中年の看護婦。
年齢は見たとこ50代。
かけている銀縁の眼鏡が似合う、風格のある女性だ。
「先生、お願いします」
看護婦に促され、後ろから白衣の男性が現れた。
年は看護婦と同い年ぐらいに見える。
男性にしては、ほっそりとした体つきが印象的だった。
「担当医の藤上です」
藤上先生はあたしの顔を見るなり
「生気がないな」
と言って笑った。