月と太陽の事件簿16/さようならの向こう側
多江さんが自殺する理由がわからない。
その時、ドアがノックされた。
入って来たのは達郎兄ちゃん。
安堵の気持ちが広がったんだろう。
達郎兄ちゃんの顔を見たとたん、涙腺が一気にゆるんだ。
「達郎兄ちゃ…」
「泣くな、カホ」
達郎兄ちゃんの右手が伸びる。
案の定、あたしの鼻をつまんだ。
でも左手で、ハンカチを差し出してくれた。
あたしはハンカチを受け取ると、涙をふいた。
「ついでに鼻水もぬぐっておけ」
「最低」
あたしは達郎兄ちゃんをにらみつけた。
でもおかげで、涙は止まった。
「ニュースを見て、飛んできたんだ」
とてもそうは見えない口調で、達郎兄ちゃんは言った。
「ここに来る前に、カホの家にも行った」
「お母さん、何か言ってた?」
「カホの心配してた。よろしくお願いと頭を下げられた」
だったら鼻つまむなよ。
「しかし未だに信じられないな」
多江さんが飛び降りた事を言っているのだろう。
その時、ドアがノックされた。
入って来たのは達郎兄ちゃん。
安堵の気持ちが広がったんだろう。
達郎兄ちゃんの顔を見たとたん、涙腺が一気にゆるんだ。
「達郎兄ちゃ…」
「泣くな、カホ」
達郎兄ちゃんの右手が伸びる。
案の定、あたしの鼻をつまんだ。
でも左手で、ハンカチを差し出してくれた。
あたしはハンカチを受け取ると、涙をふいた。
「ついでに鼻水もぬぐっておけ」
「最低」
あたしは達郎兄ちゃんをにらみつけた。
でもおかげで、涙は止まった。
「ニュースを見て、飛んできたんだ」
とてもそうは見えない口調で、達郎兄ちゃんは言った。
「ここに来る前に、カホの家にも行った」
「お母さん、何か言ってた?」
「カホの心配してた。よろしくお願いと頭を下げられた」
だったら鼻つまむなよ。
「しかし未だに信じられないな」
多江さんが飛び降りた事を言っているのだろう。