ただいま賛歌
第一幕
新しい朝
「零」
お母さんの声が聞こえ、目が覚めた。
…エプロン姿に丸刈りの頭は、どう考えても性別女ではないけどね。
ずっとちっちゃい頃、まだここに入ったばかりの頃、試しに“お父さん”と呼んでみたら死にかけた思い出がある。
「あんた、今日入学式なんでしょ。早く起きなさい」
「うんっ」
「……あんた、今日はやけに素直ねぇ」
いつになく素直な私に、お母さんはびっくりしているようだ。
私はそんなお母さんににへらっと笑いかけて、階段を駆け降りた。