氷女子と水男子

と、ちょうど予鈴がなった。

「あ、授業だ。……じゃあな、がんばれよー」

弘樹はそういい残して、自分の教室に向かった。

「…行くか」

「だな」

残された二人も移動を始めた。



一時間目は炎天下の中、校庭で体育。

女子の体育担当が休みなため、男女合同で行う。

「あーもう、女子だけだったら体育館だったのに…」

と氷華はつぶやく。

「しょうがないよ、小笠原先生風邪引いちゃったんだもん」

つぶやいた氷華のとなりで、多季が言った。

多季は氷華と同じクラスで、優等生で優しい気の利くいい子だ。

ただ、1つだけ。1つだけを除けば、完璧な女の子だ。

「おーい、集まれー」

「あ、牧田先生呼んでるよ。行こう?」

「うん」

と言って走り出した矢先、

「あ、きゃっ!」

多季はコケた。

そう、多季はドジで、運動能力はほぼ0に等しい。

氷華は多季の成績表を見たことがあるが、あんなに偏っている成績表は見たことがない、と思った。

「もー、多季はホントドジだなー」

氷華は多季に手を差し伸べる。

「あ、ありがとね。ごめんね」

まぁ、そんなとこがモテる要素の1つでもあったりするが…。

当の本人はまったく気づいていない。

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