氷女子と水男子
そんなときだった。
「あ、あの!」
後ろで可愛らしい声がした。
「…多季?」
「おお! 多季ちゃん!」
「おー? 誰々この可愛い子ー?」
大輔と弘樹は嬉しそうだ。
「あ、生徒会長さんこんにちわ。わたし、多季っていいます」
「多季ちゃんね。しっかり刻み込みました!」
「ちょ、弘樹さん!」
下心見え見えの弘樹を大輔は一発殴った。
「だ、大輔! 何すんだ!」
「別に? 変態を成敗しただけです」
「…大輔…後で覚えてろよ…」
「お、落ち着いて弘樹さん」
黒いオーラが辺りを漂い始めた弘樹を水斗は宥めた。
「で、多季は何?」
水斗は多季に聞く。
「あ、わ、わたし、水斗くんに用があって…」
「俺?」
「えー、俺じゃないのー?」
大輔が不満そうに言う。
「あ、大輔くん、ごめん…」
「いーよいーよ気にしないー」
申し訳なさそうに謝る多季に、大輔はデレデレしながら言った。