氷女子と水男子
「…で? 何なんスか」
大輔が聞くと、弘樹は楽しそうに答える。
「ああ、あれはな…」
「よし、この辺でいいか」
人気のないところで止まると、多季が水斗の方を見た。
「あの…ごめんね? 何かお取り込み中みたいだったのに…」
「ん? 別にいいって」
水斗は笑ってみせてから、話題を切り出す。
「で、何?」
「……あの、ね…」
多季はうつむく。
「わ、わたし、ずっと前から…あの時から、水斗くんのこと、好きだったの!」
「ええ!? こ、告白!?」
「そーそー。そうに決まってんじゃん」
実に楽しそうに、弘樹は言う。
「態度とか、顔とか見ればなんとなく分かるんだって。な?」
「な? とか言われても…」
全然気づかなかった、と大輔は思う。
(てか水斗ばっかりめっちゃズルい! おいしいとこばっか持っていきやがって…あとで水斗殺(略))
「あー、なんか大変なことになってきたなぁ」
「…弘樹さん、楽しんでません?」
「え? 別に?」
そう言う弘樹の顔はめちゃくちゃ笑顔だった。