氷女子と水男子
「さ、水斗くんも席について。もう騒がないでね」
「……ハイ」
水斗と呼ばれた男子生徒は、氷華の隣の自分の席についた。
「……ではー、授業再開しまーす」
そろそろ席替えしようかなー、と思った先生だった。
昼休みになると、氷華の隣の机に大量の水が乗っかっていた。
ミネラルウォーターというやつだ。
多分、購買で買ってきたやつ。
「…なにこれ。目障り」
「なっ…! 新鮮な水様になんてことを!」
「は? 水様? 何言ってんの。アンタ水なんか崇めてんのバッカじゃないの?」
「お前に言われたくないな! お前だって何様のつもりだよそれ!」
「ああ、見ればわかるでしょ」
氷華の机には、バケツ。
バケツの中身は大量の氷。
「涼しげでしょ? 最もバカなアンタにはわかんないだろうけど!」
「ま、またバカっていいやがったな!」
「は? バカにバカって言って何が悪いの?」
「うるせぇ! お前だって同じようなもんだろ!」
「アンタと一緒にしないでよ!」
「はぁッ!?」
ぎゃーぎゃー言い合う2人。
これがいつもの光景なんだ、と、クラスメイトは諦めていた。