氷女子と水男子
割れる二つ。
「…は?」
翌日の朝。
「だ、だからね、わたし、水斗くんにこ、ここっ…告白したの!」
氷華は多季にそう報告されていた。
(た…多季が?)
氷華はやっと理解して驚く。
あの、みんなのアイドル的存在の多季が。
「み…水斗に?」
「そ、そうだよ!」
こっちの素性なんてまるで知らないかのように、多季は輝く笑顔で言った。いや、実際知らないのだが。
(こんな可愛い多季に、叶うはずないじゃん…)
絶望。
その言葉が、氷華の脳裏をよぎった。
構わずに多季はしゃべり続ける。
「で、でもね、まだ返事はもらってないの。だからね、氷華ちゃんに協力してもらいたいの!」
「…協力?」
協力なんて、と氷華は思う。
「ほら、氷華ちゃん、水斗くんと仲いいでしょ? だから、わたしのことを上手くアピール…って言ったら変だけど…とにかく、そんな感じで、協力してもらいたいの」
「……」
「ね? 氷華ちゃん、お願い!」
ぱん、と両手を合わせて頭を下げる多季に、氷華は怒りを覚えた。