氷女子と水男子

「や、やっぱそうだよなぁ…ごめん」

「いいって。うち、人の世話見るの好きやし。また何かあったら相談せえや。うちは氷華の味方やで!」

色素の薄い髪を揺らしながら、頼もしく言うさくらに、

「…ありがと」

氷華はまたも珍しくお礼を言った。



「あー、やっぱりかー」

「え、やっぱりって何スか」

一方、男子軍。

少し早起きしたために、余裕を持ってごゆるりと登校する水斗と大輔と弘樹。

「そうだろうと思ったんだよ…で、どうすんの?」

「そ、そりゃもちろん断ります! だって俺は…」

と、そこまで言いかけて、水斗はうつむいた。

話題はもちろん、昨日の告白のこと。

大輔が口を挟む。

「しっかし、あんな可愛い子の告白断るなんて、水斗絶対損してるってー」

「人それぞれの好みってやつだって。な? 水斗」

「い、いや…そうなんスか?」

「そうだって。兄さんの言うことを信じろ」

「兄さんってどこですかー?」

「大輔殺(略)」

黒いオーラを吹き出す弘樹をよそに、大輔は水斗に言う。

「なー、今度多季ちゃん紹介してくれよー」

「は? そんなこと言われてもなー…」

と、予鈴が鳴った。

「や、やべ! 遅刻!」

「こら君たち、遅刻とは何様だー」

「こんなときだけ生徒会長面しないでくださいー!」

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