氷女子と水男子



「こらー水斗と大輔、遅刻ー」

「…すんません」

水斗と大輔が教室に来れたのは、1時間目の終わり頃。

生徒会長面をした弘樹やらいろんな先生やらに説教され、やっとの思いで開放されたのだった。

(くそぅ…あのクソ生徒会長め…。あれは職権乱用というのではないか?)

水斗と大輔は心の底からそう思った。

授業をしていた先生が口を開く。

「ほら、黒板写しちゃって、バカ2人。テスト近いんだから」

「「ば、バカってなんスか!?」」

先生に向かって、声を揃えて言う2人。

そこで1時間目の終わりを告げる予鈴が鳴った。

「じゃ、今日はここまでなー、さっきも言ったようにテスト近いから、しっかり勉強しとけよ~」

と言いながら、先生は教室を出て行った。

水斗はため息を吐いてから、自分の席に着く。



(み、水斗…何で今日遅かったんだろう…)

隣の席に着いた水斗を横目でちらちら見ながら氷華は疑問に思った。

そして、気づく。

(も…もしかして、昨日の告白で興奮して夜も眠れなかったとか!? な、何なのよ水斗のスケベオヤジ!)

いや、気づいたのではなくただの勝手な想像なのだが。

とにかく、氷華の怒りのボルテージが上がった。



「はん、バッカじゃない? 遅刻とかだっさーい」

と、隣で氷華が言った。

「…はぁっ!? 会って早々何だよそれ!?」

(心なしか顔が引きつっているが…気のせいか?)

水斗は言いながらもそう思った。

「別に? わたしは思ったことをそのまま言っただけ」

氷華は続ける。

「徹夜で水の仕込とかやってたんじゃないの? そんなことやって何になるんだか。ホントバカみたいね!」

「いやいや、水の仕込ってなんだよ。てか水をバカにすんな!」

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