氷女子と水男子
揺れる二つ。
「……おい、氷華! 聞いてんのか、氷華!」
「……ん…?」
気づいたら、寝ていたようだ。氷華はゆっくり顔を上げる。
「て、うわ」
そこには、
「水斗……?」
「うわってなんだうわって」
(なんで、水斗が…?)
氷華は思う。
「あんた、わたしのこと嫌いになったんじゃないの…?」
そして、聞く。
水斗は「は?」という顔をしてから、微笑んだ。
「お前がバカか。俺が嫌いになるはずねぇだろ、バーカ」
「……は? てか、バカって二回も言…」
「うるさいな。今ので意味読み取れ、バカ」
「あ、三回目…」
「いやもうそれいいから」
氷華は水斗の言葉の意味を考える。
「…てか、これ夢オチじゃ…?」
「ねぇよ。この作者ならありえるけどな」
注意:ありません。
「で、でもだって、わたしは水斗にたくさん酷いこと言って…だから、嫌われたと思って…」
「それは俺もだ。だから、謝りに来た」
「…え…」
「ごめん」
水斗は頭を下げた。
「そ、そんな、わたしこそ、ごめん」
氷華は立ち上がって、同じく頭を下げる。
その姿を見て水斗は、
「あ、氷華ってそういう素直なことも出来るんだ」
とニヤニヤしながら言う。
「……! ほ、ほら、今寝起きだし…ちょっと本調子が出ないっていうか…」
「言い訳すんなって。それが素のお前なんだろ?」
「……」
氷華は恥ずかしくなって、うつむく。