氷女子と水男子
そして、氷華は少し気にかけていたことを聞いてみる。
「でも、水斗、多季の告白は…?」
水斗はきょとんとしてから、
「ん? ああ、まだ返事はしてないけど…断るつもり」
と、平然と答えた。
その態度と言葉に氷華は驚く。
「な、なんで? 多季は可愛いし、モテモテなんだよ? 水斗にはもったいないくらいのいい子なのに…」
「多季が可愛いとか、周りの評価とか、俺には関係ないし。そんなこと言うなんて、なんかいつもの氷華じゃないみたいだな」
「……! いつものわたしって…」
「んー…なんて言えばいいんだか…なんて言うか、いつもの氷華は自分を貫くタイプじゃん? だけど今は、周りばっかり気にかけてる」
まぁ、周りに気を配るのはいいことなんだけどさ、と水斗は笑った。
氷華は唖然として水斗を見る。
(わたし…どうかしてたのかな…)
周りを気にするフリをして、自分の気持ちから逃げていたのかもしれない。
水斗が、
「……好き」
「え?」
という気持ちから。
「あ? ええと、い、今のは…」
「ひ、氷華…今なんて?」
「ななななんでもないから!」
慌てる氷華を見て、水斗は微笑んだ。