氷女子と水男子
「ウソ。聞いてた」
「なっ…騙したわね、このバカ!」
顔を真っ赤にする氷華に、水斗はニコニコする。
そして、言う。
「……俺も」
「は?」
しばらく沈黙が訪れた後、
「ちょ、何この空気…俺なんかまずい事言った?」
そう水斗が切り出す。
氷華は耳まで真っ赤になりながら叫ぶ。
「バカ! 言ったわよ! バカバカバカ!!」
「ちょ、バカって言いすぎ……」
「うるさいバーカ!」
「は!? バカって言う方がバカなんだよバーカバーカ!」
「言ったわねこのバーカ! 結局あんたもバカなんじゃないの!」
「うっせぇ! お前よりバカじゃないし!」
「何よ水斗の……」
と、そこで何も頭に思い浮かばなくて、氷華は止まった。
会話(?)も続かず、水斗も黙る。
それから、
「…結局、私たち両思いなんじゃない…」
氷華が目も合わせずぽつりとつぶやいた。
「……ああ、そうだな」
水斗も静かにそう言う。