氷女子と水男子
氷と水。
「悪りぃ、遅くなった」
「謝らなくていいわよ。わたしがケリつけて来いって言ったんだし」
下駄箱の前で、氷華はにこりともせずにそう言った。
水斗は微笑んでから、
「…ああ、そうだな。ありがとな」
と言う。
「…! わたしはあんたのために言ったんじゃないからね! ただ、多季があのままだと可哀想だって思ったから…」
「うん、分かってる」
「……! あ、あっそ!」
氷華は照れながらもそっぽを向く。
「じゃー途中まで一緒に帰るか! とは言ってもすぐ近くだけどさ」
「ふん。しょうがないわね…あ、待って」
「?」
氷華は鞄の中を探り始める。取り出したのは、
「…タオル?」
「昨日の。ちゃんと洗濯とかしてあげたんだから、感謝しなさいよね」
水斗が氷華に渡したタオルだった。
「ああ…忘れてた。さんきゅ」
水斗はそれを受け取る。